2020-21シーズン トップリーグ 第7節試合結果
21.04.11(日)13:00キックオフ
クボタスピアーズ |
トヨタ自動車ヴェルブリッツ |
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24 | 合計 | 25 | ||||||||
T | G | PG | DG | 計 | T | G | PG | DG | 計 | |
2 | 2 | 0 | 0 | 14 | 前半 | 1 | 0 | 1 | 0 | 8 |
1 | 1 | 1 | 0 | 10 | 後半 | 2 | 2 | 1 | 0 | 17 |
出場選手
# | スターティングメンバー | # | リザーブメンバー |
---|---|---|---|
1 | 海士広大 | 16 | 杉本博昭 |
2 | マルコム・マークス | 17 | 羅官榮 |
3 | 山本剣士 | 18 | 北川賢吾 |
4 | デーヴィッド・ブルブリング | 19 | 青木祐樹 |
5 | ルアン・ボタ | 20 | 土谷深浩 |
6 | トゥパフィナウ | 21 | 岡田一平 |
7 | ピーター・ラピース・ラブスカフニ | 22 | 岸岡智樹 |
8 | 末永健雄 | 23 | ライアン・クロッティ |
9 | 井上大介 | ||
10 | バーナード・フォーリー | ||
11 | 山崎洋之 | ||
12 | 立川理道(Cap) | ||
13 | テアウパシオネ | ||
14 | ゲラード・ファンデンヒーファー | ||
15 | 金秀隆 |
個人得点
氏名 | T | G | PG | DG | 計 |
---|---|---|---|---|---|
マルコム・マークス | 2 | 10 | |||
バーナード・フォーリー | 2 | 1 | 7 | ||
テアウパシオネ | 1 | 5 | |||
ゲラード・ファンデンヒーファー | 1 | 2 |
入替・交替
種類 | 時間 | 背番号 |
---|---|---|
入替 | 後半5分 | 9 → 21 |
入替 | 後半8分 | 3 → 18 |
入替 | 後半14分 | 10 → 22 |
入替 | 後半14分 | 13 → 23 |
入替 | 後半17分 | 1 → 17 |
レポート
2月20日より始まったトップリーグ2021のリーグ戦もいよいよ最終節。
6戦を戦いレッドカンファレンス2位のクボタスピアーズは、勝ち点同点でレッドカンファレンス3位のトヨタ自動車ヴェルブリッツと対戦しました。
昨シーズンでは、試合終了間際ラスト1プレーで逆転負けを喫しているクボタスピアーズは、今季初の関西遠征となる花園ラグビー場にて、勝利を目指して戦いました。
↑初の関西遠征となりましたが会場にはたくさんのオレンジを着たファンにご来場頂きました。
前半:2トライでリードするも終了間際に13人に
キックオフをレシーブすると相手ノックオンにより早速クボタボールでファーストスクラム。
スクラムはやや優勢。クボタは敵陣に入るため連続攻撃を仕掛けます。
前節での課題であったブレイクダウンがしっかりと修正し、特に近場のアタックでの連続攻撃はボールを持った選手が強い接点で前にでると、しっかりとボディコントロールをしてフォローをまって、スクラムハーフ井上選手がさばきます。
そうして、前半5分相手ペナルティからゴール前ラインアウトのチャンスを得ると、モールと見せかけてショートサイドを攻撃。そこからボタ選手といった強い選手たちが確実に前に出て5フェイズ目でマルコム選手が突進し、インゴールに飛び込みトライ。フォーリー選手ゴール成功で7-0と先制します。
その後、中盤ラインアウトからのディフェンスでタックルミスからラインブレイクを許し、そのままトライ。試合の序盤でペースを握りたいところで、非常に惜しい得点を奪われてしまい前半11分で7-5としますが、それでもクボタは自分たちがボールを保持し続けることで、ペースを掴み、敵陣で試合を展開します。
そして、前半16分にはゴール前ラインアウトモールから崩れたところ、バックスに展開し立川選手の相手ディフェンス裏に転がすキックをテアウパ選手がバウンドを読んでキャッチし追加点。ゴールも決まり14-5とします。
ここまでの20分、試合の傾きは僅差でクボタ。
強いブレイクダウンとセットプレー、接点の部分で半歩有利に立つことで、攻撃にリズムが生まれます。課題は外側に展開した際のブレイクダウンからボールを奪われることと、ハンドリングエラー。相手トヨタの攻撃力は一瞬でトライを取り切る力があるだけに、こうした課題は修正したいところ。
20分には相手PGにより14-8とします。
流れが変わったのは前半残り10分となったところ、原因はクボタのペナルティでした。
中盤からノットロールアウェイ*1、ラインアウトからのアタックでゴール前まで迫られ、またもノットロールアウェイ。相手の早いリスタートからノット10mバック*2、その後のディフェンスでハイタックル、相手ラインアウトをターンオーバー後にノットリリースザボール*3、次にラックでオフザゲート*4と立て続けに6つの反則。 レフリーからもキャプテンに反則の繰り返しについての忠告を受けます。前節でも前半で9つのペナルティがあったことが課題のクボタ。この6つのペナルティも紙一重な部分はありますが、約5分の間で6つのペナルティ。反則の流れを断ち切れなかったことは、相手に流れを譲る結果にも繋がります。
↑レフリーの注意を受けて全員をまとめる立川選手
そうしてゴール前トヨタボールのスクラムで2度のペナルティをクボタが犯すと、反則の繰り返しにより3番山本選手がシンビンで10分間の退場。相手スクラム選択により北川選手が投入され、8番末永選手がアウト。(フロントロー*5が退場中にスクラムがあった場合は、安全上の問題から代わりのフロントローを出場させなくてはいけません。その場合は、ほかポジションの選手と入れ替えとなります。)
クボタは7人でのスクラム。トヨタとしては数的有利にたったスクラムで押したいところです。しかし、クボタとしてもこれは想定内。日頃週に1度のペースで、こうしたシンビンシチュエーションの7人や6人でのスクラムを練習しているクボタはこのスクラムを押し返します。スクラム後なんとか耐えるクボタディフェンス。しかし、プレッシャーを浴びたのか、ラピース選手が2度のノットロールアウェイの反則を繰り返しシンビンとなってしまいます。
前半残り1プレーで13人の戦いを強いられることとなったクボタですが、6人で組んだスクラムとその後のディフェンスで耐え、ターンオーバー*6を奪うとタッチに蹴りだし、この前半終了間際のピンチを凌ぎます。
しかし、前半だけで12個のペナルティ。そして2人のシンビン。
13人でピンチを耐え、リードで折り返しましたがその代償は大きく、後半は非常にハードな状況で戦うこととなります。
後半:逆転・再逆転のシーソーゲームは壮絶な結末
ハーフタイムで、フランヘッドコーチはこの13人の時間を、アタッキングマインドをなくさず、スマートに戦い、全員が揃ったら練習通り準備してきた攻撃をして勝とうとチームを送り出します。
前半3分、この時間帯にテンポを上げて逆転を狙うトヨタは、スクラムからのフリーキックで早いリスタートでラインブレイク。トライとゴールを奪われて14-15と遂に逆転を許してしまいます。
後半9分になると、シンビンの選手が戻り15人同士の戦いに。
逆転こそはされたものの、この相手に対して13人の局面を1トライで耐えたことは日頃のハードワークの成果、そして出場していた選手たちの集中力、なによりハーフタイムで一度息を整えて精神面を落ち着かせたことも大きいでしょう。
後半14分、敵陣でのディフェンスでマルコム選手が相手からノットリリースザボールの反則を奪うと、フォーリー選手が約40mのペナルティゴールを成功させて逆転。17-15として、フォーリー選手とテアウパ選手がアウト。岸岡選手とクロッティ選手が投入されます。
後半17分にはトヨタも同じくペナルティゴールで17-18とし、その後はお互いにエリアの奪い合い。
前半ペナルティが多かったクボタディフェンスも、全員がラックから一歩下がったディフェンスライン、過度に絡まないブレイクダウンと、しっかりと前半の課題を修正し、前半から勝っていた接点で相手を前に出させません。
逆に相手からペナルティを奪ったクボタは後半61分に岸岡選手のタッチキックからゴール前まで迫ると、スクラムハーフからの1パスでフォワードを当てる近場の攻撃で、シンプルにダイレクトに前にでます。そうして得たゴール前5mでのスクラム。安定したボールを出すとまずは立川選手がゲインライン*7を突破。その後、トゥパ選手がさらにゲインを切り、トライまで残り3mとなったところ、マルコム選手が走り込み、タックルをすり抜け、インゴールに飛び込みトライ。ゲラード選手のゴールも成功し後半25分で24-18と再逆転に成功します。
クボタはこの追加点で勢いを取り戻すと、試合終了間際にかけて敵陣でプレーし続けます。
ラインアウトモールで幾度と相手にプレッシャーをかけると、相手ペナルティ。後半79分で点差を6点差から9点差に広げ、勝利を確実なものにしようとペナルティゴールを狙います。ところが、このゴールが不成功。
相手ボールドロップアウトでスタート。後半40分を知らせるホーンがなり、このプレーがラスト1プレーであることが知らされます。
1トライ1ゴールで逆転されてしまうクボタは規律を守りながら必死のディフェンス。11フェイズに渡りペナルティをせず耐え続けますが、中盤でのラインブレイクを許し、50m以上走られトヨタトライ。ゴール成功で逆転され、24-25の1点差で敗戦となりました。
★リーグ戦順位
この試合でクボタスピアーズは7点差以内の敗戦でボーナス点1を獲得し合計25点。
レッドカンファレンス最終順位3位となり、4月24日(土)12時から江戸川区陸上競技場で行われるトップリーグ2021プレーオフトーナメント2回戦でホワイトカンファレンス6位のヤマハ発動機ジュビロと対戦します。
【フラン・ルディケヘッドコーチのコメント】
「まずは相手チームを称えたいと思います。あの状況で勝つことができるのは素晴らしいことだと思います。
我々も誇りの広告塔にいえるラグビーを見せられたと思います。特にシンビンが2枚でている状況でも戦うことができたのは、選手たちを誇りに思います。結果、負けてしまったのは残念ですが、この学びを活かして、次のプレーオフトーナメントを楽しみにしたいと思います。」
【立川キャプテンコメント】
「初の関西での試合でしたが、たくさんのファンに来ていただき、とても嬉しく思います。試合ではこうした結果になったことは非常に残念ですが、この結果を受け入れて修正して、次の戦いに向けて準備していきたいと思います。前半のペナルティが連続した部分はしっかりと修正していきたいと思います。最後のペナルティでもう一度ラインアウトを選択することもできましたが、ペナルティゴールを最終的に選択したことは後悔していません。ただ、その後のディフェンスの部分は課題があると思うので、しっかりと修正していきたと考えています。」
【マルコム選手コメント】
「今日の試合はタフな試合となりました。特に13人で戦った場面は全員がよく耐えたと思います。最後の最後にあのような結果になりましたが、この結果をポジティブにとらえて次に望みたいと思います。過去にもこのような悔しい敗戦はありましたが、「学ぶ」ということが大切だと思います。いい部分と悪かった部分をしっかりと受け入れて、次に活かすことだと思います。」
【岡田選手コメント】
「自分は13人の場面で出場しましたが、とてもチャレンジな試合になるなという心境で臨みました。自分の仕事として、ゲームをコントロールしてテンポをあげることだと思いますが、それが実行できたと思います。最終的にこのような結果になり残念ですが、チームのだれひとり下を向いている者はいませんし、次の試合に向けて準備していきたいと思います。」
【ピックアップ写真】
↑フォワードが二人少ない局面でスクラムの強さを見せた北川選手
↑立川選手は厳しい局面で一人分以上の働きを見せた
↑海士選手とデーヴィッド選手。働き者2人
↑悔しい敗戦となったが会場はオレンジに染まりたくさんの応援を頂きました。またプレーオフ準決勝で花園での試合があります。
【ラグビー用語解説】
*
1.ノットロールアウェイ
タックラーがその場からどかず、相手のプレーを邪魔すること
2.ノット10mバック
自チームが反則し10m下がらずプレーに参加すること(反則を犯してしまった場合は、反則を犯したチームが10m下がらなくてはいけない。)
3.ノットリリースザボール
タックルされたプレーヤーがボールを離さないこと
4.オフザゲート
ラックが形成され、横や斜めからそのラックに入ってしまうこと
5.フロントロー
スクラム前3人(プロップとフッカー)の総称
6.ターンオーバー
攻守が逆になること。相手ボールを奪うこと。攻守が切り替わるタイミングのためディフェンス側の陣形が整わず、一般的にはチャンスとなることが多い。
7.ゲインライン
スクラムやラックなどでその攻撃の起点となるポイントからゴールラインに平行にひかれた見えない線
【次戦についてのお知らせ】
トップリーグ2021プレーオフトーナメント2回戦
日時:4月24日(土)12時
場所:江戸川区陸上競技場
対戦相手:ヤマハ発動機ジュビロ