このゲームに4トライ以上で勝利し、勝ち点5を獲得することがトップ4に残る一つの条件。それ故、後の無い戦いをする、力を出し切るという思いを強くして臨んだゲーム。
NECの得点パターンはSOヤコの正確なキックから陣地を取り、プレッシャーをかけ、相手のミスやペナルティーを誘い、ラインナウトモールからのトライを狙うパターン。バックスの速い展開からのトライもあるが、今期は全体的にスローなゲーム運びをする。
クボタとしては、前節の東芝戦でミスをした地域戦略の修正と耐える時間に負けないことを確認し、NECのスローテンポに対しクイックテンポでボールを動かすことから、クボタペースでのゲームを作る狙いがあった。
前半からクボタが敵陣に攻め込み、クボタのプレッシャーからNECが犯して得たペナルティーキックをやや距離はあったが、SO伊藤が確実に決め、加点していく。2つのペナルティーから6点差となったところで、NECがゴール前ラインアウトをモールで押し込んでトライを奪う。キックも決められ6対7と逆転される。
NECに得意のパターンで得点を許した為、ゲームの流れを引き戻すには、リズムのあるアタックが必要であったが、リスタート後に得たラインナウトから準備したアタックで、ミスなくボールを動かし、FBマクイナリーがトライする間合いを作り出し再逆転する。
この日は、激しく選手一人一人がチャレンジし、ブレイクダウンでのボールの争奪やサポートに意識の高い、集中したプレーが見られた。特にディフェンスは、これまで高かったタックルが低く確実に入ることができ、意識の部分での向上が見られた。
この日のように前に出てタックルができれば、相手はプレッシャーを感じミスを犯し易くなり、陣地を下げてしまうことでクボタのディフェンスに有利な状況が生まれてくる。加えてクボタのディフェンスラインは最後まで選手間のコミニケーションが取れ、崩れない集中力があった。
ゲームを通じての不満を言うなら、後半の入り方にある。これまでのクボタはリードした後に気が緩み、逆転されていた。このゲームではその部分を修正する意識と指示があったにもかかわらず、簡単にトライを許してしまったことにある。
ただ、その甘さが命取りにならなかったのは、NECとこの日のクボタでは、「勝たねばならない」というモチベーションで差があったことが大きい。NECはしぶとく最後まで粘ることが身上のチームながら、この日は『勝つ』という思いにおいてクボタが終始、上回っていた気がする。
勝たねばならないプレッシャーの中、勝つ為の準備をして集中すれば、できることを体験したことは、前半戦を締め括る上で貴重な体験であった。ただ、NECは、この敗戦を悔しいと思い、絶対に次回の戦いでは更に強くなってくる。我々もNECに負けず、努力し、真価を問われる次回の再戦でこの日を上回るタフな戦いのできるチームになりたい。勝って驕らず、我々にチャンスが残されたことを謙虚に喜び、後半の戦いでは生まれ変わったスピアーズをお見せしたい。