前節の待望の勝利を上げたが、苦しい状況に変わりは無い。昨シーズンも同じ日程で対戦したトヨタ戦の敗戦後、ベスト4進出の可能性が低くなったことから、チームの勝利への執着心が薄れていき、チームとして納得のいかないシーズンとしてしまった。
その意味でも5連敗スタートの今シーズンの今後を決める大一番のゲームという意味を持ち、春から取組んできた「熱のあるチーム」になることや、「ALL OUT」のチームスローガンに対する我々の真価の問われる一戦であった。
スピアーズが勝つには(1)ロースコアーの戦いに持っていくこと。(2)80分間徹底的にディフェンスすることだと考えていたが、この日のスピアーズの選手の集中力は最後まで途切れること無く、今シーズンのベストゲームとなった。
トヨタのゲームプランは強いボールランナーを走らせ、ディフェンスラインを破った後、速いボール回しで高速バックスを走らせることにある。スピアーズとしてはこの強いボールランナー達を如何に低く前で止め、トヨタ自慢の高速バックスを走らせないことで、ロースコアーの戦いに持ち込もうと考えた。
トヨタ戦に向けた練習では、これまで以上に集中することをチームに求め、当日のウォーミングアップでも今シーズンで一番の集中をチームに求めたが、本当に良く集中してくれ、ゲームへの準備をしっかりとして臨むことができた。
勝因は前節同様、フォワードのラインアウトでの健闘、全員での集中したディフェンスを80分間できたこと、そしてスタンドオフ伊藤のキックによるゲームメイクにあった。
特に元々はWTB・FBの選手であるトヨタ正面選手とスピアーズ伊藤を比較したときに、スタンドオフは専門職で有る故にゲームメイクにおいて大きな違いが有ったと感じた。
そして、スピアーズのフォワード陣がラインアウトにモールにとトヨタに真っ向勝負を挑み、力で上回ったこと、ディフェンスで何本もビックタックルを決めたことで、トヨタのアタックの機会を減らすことに成功し、先制されたが逆転後は常に先手を取って戦うというスピアーズのイメージしたゲーム展開であった。
当日、急遽発熱により先発メンバーを本吉から小堀に変更するなど、ゲーム直前まで色々とあったのだが、これに動揺することなく、チームは勝つことに集中し、ひたむきにディフェンスし、ひたむきにアタックしてくれた。
だからこそ、フォワードの真っ向勝負を象徴するように3番中島、5番赤塚の両ベテランが先制、勝負を決めるトライを上げ、この数試合調子の上がらず、メンバーから外れた小堀が、急遽代役として出場し、今シーズン初トライを上げる等、スピアーズの攻守の歯車のあったゲームとなったのだと感じている。