前節の敗戦は、今期最悪のゲームを象徴する内容であった。内容よりもメンタル面での弱さが露呈したものであり、サントリー戦に向けて5日間での修正に集中した。
ゲームの内容が悪い時はけが人も出てしまい、チームが負のサイクルに陥っている状態であったが、ここを修正できねば強豪のサントリーに大敗することも予想された。
チームのネガティブな雰囲気とけが人が出ていることでのチーム力への不安等、選手の気持ちも落ち込みがちであっったが、トップリーグ初出場の香月、今期初スタメンの竹野、開幕戦メンバーでありながら、途中外れたがモチベーションを維持し復活してきた根岸等が練習から意欲的に声を出し、激しく練習することでチームの雰囲気を変えてくれた。
このメンタル面をコントロールできたことが、接戦に持ち込めた理由であり、メンタルコントロールが常にできれば、このチームはもっと安定的な力を出せる。
練習という準備、ウォームアップという準備、試合へ臨む準備が整うことで、初めて強豪と渡り合えるチームになる。そして接戦で学ぶ多くの事に真摯に向かい合うことでチームの力がつくものだと思う。
この日のスピアーズはこういうことが全て出来ており、それ故、対戦相手に対しチームがひとつにまとまって向かって行くことができたのだと思う。サニックス戦では対戦相手を軽く見ていたことで、ミスに対し真摯になれなかった。反対に強豪相手だとミスが起こるのは当然で、次に向かおうという気持ちが強くなりサントリー戦は気持ちがポジティブに向かって行った。端的に言えばサニックスのゲームでは「油断」があったのである。
最初にトライを許したが、その後アタックでチャレンジしてとったトライは練習を重ねたプレーが出た。
ラックからディフェンスのプレッシャーを受けながらも茂木がパスを出し、茂木にプレッシャーに行ったディフェンダーが倒れたことで、伊藤(宏)をマークしていたディフェンダーとラックの間に穴ができた。この穴に走りこんだキャプテン鈴木が抜け出し、渡海谷、根岸とパスをつないでのトライは、状況判断とその瞬間に集中してチャンスをモノにするという個人の判断の集約されたものであり、個人の判断へのシフトを目指したアタックが形になったものだった。
ハーフタイムでのチームの雰囲気はかつて無い程に盛り上がり、選手達はグランドに戻っていったが、サントリーのここ一番の集中力に2トライを許してしまった。
しかしその後も、プレッシャーをかけ続け、岩上のキックチャージからトライを奪い、離されないようにしぶとく戦った。4トライ目を奪われた後もディフェンスの意識は高く、最後の20分間をゼロに押えたことは評価できる内容だった。
特に後半は地域を取れず、自陣にいる時間が80%近くあり、ラグビーのゲームとして圧倒的に不利な状況であり、得点チャンスを作れなかった。それ故、このゲームではディフェンスばかりが目立つことになったのだが、取られないということも勝つことに必要な要員であり、確実にディフェンスのレベルは上がっている。
残念なのはこのゲームで奪われたトライのいずれもが、わずかなコミニケーションミスが原因で、防ぐことができたということ。
このレベルのチームに勝つには、更に集中力を途切れさせること無く、戦うことが求められるということだ。一足飛びに高いレベルに行くことは難しいが、こういうゲームの経験が財産になっており、次につながるゲームができたと考える。
残念なのは、このゲームでM.ヴィールが不正行為を働いたこと。この件に関し、サントリーチームの皆様、ファンの皆様に心からお詫びを申し上げます。
卑怯なプレーを許さない指導に努め、襟を正して残り2戦を戦いたい。