トップリーグの最終戦は今期トップリーグに上がってきた九州電力との戦い。思えば最後の全国社会人大会の予選プールの最終戦でトップリーグ入りを争ったのもこの九州電力であった。再び自力残留をかけて戦うというのも不思議なめぐり合わせであるが、スピアーズとしては、対九州チームとの連敗阻止、そしてサニックス・コカコーラウエストと連続して初対決に敗れており、絶対に負けたくない相手であった。
九州電力は12番ナイサングレイのキックを中心に確実に陣地を取り、セットプレーから得点を奪ってくる。全体的に安定した戦いをするチームで、ひたむきでチームとしての完成度の高い印象が強い。
スピアーズとしても今期取り組んできたディフェンスでペースをつかみ、プレッシャーをかけることで相手のミスを誘い、チャンスメイクして行くことを考えた。
チャレンジャーの気持ちを忘れず、どんな時もポジティブに次のプレーに全力を尽くすことが、今期のスローガン『ALL OUT』につながると選手には伝えた。
前半のスピアーズはミスから主導権を握れない状態をつくってしまった。チャンスでのスクラムでも、プレッシャーを反対にかけられ、度々ターンオーバーされるという状況で、攻め込んでも安易なノックオン等でチャンスを潰していた。
前半の最後のプレーで敵ゴール前に迫り、何度もアタックを仕掛けたが、九州電力の粘り強いディフェンスにより、得点に結びつけることができなかったが、確実に体力的には九州電力の方にダメージを与えていたので勝負は後半20分にかかっていると考えていた。
後半の戦い方は、九州電力のアタックはキックだけ注意し、むしろボールを出させてタッルする方が怖くないので、しっかりとディフェンスすること。相手は確実にダメージを受けているので絶対にチャンスが来ることを信じて戦うことを伝えた。
最初にトライを奪われたのは誤算であったが、このアタックは九州電力の上手さが勝ったトライであった。その後も攻め込んでも返されるという嫌なゲーム展開が続き、ハイパントキックからディフェンス網を突破されピンチになった所を大津留が逆サイドから戻ってゴール前で止めた。結果的にはPKを決められ5対20と15点差をつけられるが、このトライを阻止したタックルが、プレーがスピアーズに流れを呼び込んだ。
大津留としても前半のトライの責任を感じてのプレーであったと思うが、この取られるか守るかの紙一重の攻防をできるようになったことが、今期のスピアーズのあきらめない戦いにつながっている。
コーチ陣としても勝負の時と感じ、オツコロと大津留を下げ、渡海谷とマクイナリーを投入して流れを変えることを決断した。いつもと違うのはマクイナリーをウイングで使ったことだろうが、マクイナリーが期待通りにセットプレーからカウンターからボールを大きく前に運び、連続してトライのチャンスを作くり勝負の流れを呼び込んだ。
ゲームの流れとは振り返ると見えるのだが、後半先制を許したことで、流れを動かそうと考えたし、ゴールキックが入らず、トライを奪うことしか逆転が無いという状況に、たまたまなったことが、最後まで攻めるという気持ちを失わずチャレンジする状況を作った。
これまでと違うのは、このゲームではそのチャンスをものにしトライに結びつけることができたということ。ボールを動かし、サポートし、シンプルにアタックしながらディフェンスの穴を突くという形から奪った後半のトライは素晴らしかったが、特にFWが連続してパスをつなぎ、岩上が奪ったトライは、今期のどのトライよりも素晴らしいトライであったと思う。
5連敗に始まり、チーム状態の悪い中でも我慢して、ひたむきに練習し、ディフェンスを磨き、昨シーズンから大幅に失点を減らし、得失点差をプラスにできたことには、来シーズンに向けての大きな自信と財産になった。
そして、この日も多くの従業員やファンの皆様の声援の後押しで勝利を得ることができました。心からお礼を申し上げます。