ジャパンラグビートップリーグ プレーオフトーナメント 準々決勝試合結果
21.05.09(日)12:45キックオフ
クボタスピアーズ |
神戸製鋼コベルコスティーラーズ |
|||||||||
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23 | 合計 | 21 | ||||||||
T | G | PG | DG | 計 | T | G | PG | DG | 計 | |
2 | 2 | 1 | 0 | 17 | 前半 | 1 | 1 | 0 | 0 | 7 |
0 | 0 | 2 | 0 | 6 | 後半 | 2 | 2 | 0 | 0 | 14 |
出場選手
# | スターティングメンバー | # | リザーブメンバー |
---|---|---|---|
1 | 海士広大 | 16 | 杉本博昭 |
2 | マルコム・マークス | 17 | 羅官榮 |
3 | 北川賢吾 | 18 | 山本剣士 |
4 | デーヴィッド・ブルブリング | 19 | 青木祐樹 |
5 | ルアン・ボタ | 20 | 末永健雄 |
6 | トゥパフィナウ | 21 | 岡田一平 |
7 | ピーター・ラピース・ラブスカフニ | 22 | 岸岡智樹 |
8 | バツベイシオネ | 23 | ライアン・クロッティ |
9 | 谷口和洋 | ||
10 | バーナード・フォーリー | ||
11 | タウモハパイホネティ | ||
12 | 立川理道(Cap) | ||
13 | テアウパシオネ | ||
14 | ゲラード・ファンデンヒーファー | ||
15 | 金秀隆 |
個人得点
氏名 | T | G | PG | DG | 計 |
---|---|---|---|---|---|
バツベイシオネ | 1 | 5 | |||
バーナード・フォーリー | 2 | 1 | 7 | ||
タウモハパイホネティ | 1 | 5 | |||
ゲラード・ファンデンヒーファー | 2 | 6 |
入替・交替
種類 | 時間 | 背番号 |
---|---|---|
入替 | 後半7分 | 13 → 23 |
入替 | 後半14分 | 9 → 21 |
入替 | 後半18分 | 8 → 20 |
入替 | 後半21分 | 1 → 17 |
入替 | 後半35分 | 3 → 18 |
レポート
トップリーグ2021プレーオフトーナメント準々決勝は神戸製鋼コベルコスティーラーズ戦と対戦。
トップリーグカップ2019では7-43と完敗している相手に対して、クボタスピアーズがどこまで成長したか示す一戦。
この試合に勝てば、初のトップ4。そして日本選手権に出場となるこの試合はエコパスタジアムで行われました。
母の日での試合ということで、クボタスピアーズは母への感謝を示すためピンク色のソックスを着用してプレー。
(参考:http://www.kubota-spears.com/news/2021/05/06/150000.html)
さまざまな思いの詰まった一戦が開始されました。
前半:攻守ともに最高の入りで前半30分まで圧倒
クボタスピアーズボールでキックオフ。
横一戦に並ぶ、ネイビーのジャージにピンクのソックスが彩るクボタスピアーズのチェイスラインは、フォーリー選手のキックを合図にスタート。
ピッチ内に巻くようにして吹く強風の影響か、このキックのレシーブを相手がファンブルし、ペナルティ。
クボタスピアーズは早速の敵陣ゴール前のチャンスを得ます。
この試合ファーストタッチはいきなりのセットプレー。
ラインアウトから得意のモールで押し込むと、立川選手がボールをもらいます。
残念ながらここでターンオーバー*1をされてしまいますが、神戸製鋼が蹴ったボールを金選手がハーフウェイ付近でキャッチするとそこからボールを継続。
ゴールラインから帰ってきた選手たちが素早くアタックラインを形成すると、フェーズ*2を重ねて右へ左へと攻撃を継続します。このフェーズを重ねた攻撃で、ミスマッチ*3を生むと、立川選手がラインブレイク。これに反応し、フォローについていたバツベイ選手に渡すと、そのままインゴールポール正面に回り込みトライ。
全員で崩し、キャプテン立川選手がラインブレイク、そしてチーム最年長のバツベイ選手がスコアする先制トライで、フォーリー選手のゴールも決まり、開始4分で7-0とします。
その後、クボタペナルティからの相手ペナルティゴール不成功。
追加点は、先制トライ同様にアンストラクチャーアタック*4からでした。
リスタートでフォーリー選手が敵陣深くキックし、相手がカウンター攻撃。このディフェンスで、バツベイ選手とデーヴィッド選手の経験豊かな選手が、相手からボールを取り返すターンオーバー。
この奪い返したボールを、この日急遽先発の9番谷口選手が落ち着いてボールを出します。
ターンオーバー後、即座にアタックラインを敷いたクボタアタックに対して、外側のスペースを警戒した神戸製鋼ディフェンス。だからこそできた内側のスペースを10番フォーリー選手は見逃しません。外にパスすると見せかけて、真っ直ぐ近場に走りこんだボタ選手にパス。相手ディフェンスを縦に切り裂く突破を見せると、22m付近までラインブレイク。その後の味方へのパスは乱れますが、うまく反応してキャッチしたテアウパ選手⇒ホネティ選手と繋ぎ、細かいステップで残り5mを走りインゴールに飛び込みます。その後のコンバージョンキックも、フォーリー選手が見事に決め、前半10分で14-0とリードします。
前半15分で、ファーストスクラム。内容はほぼ互角。
アタックでは、早い準備といい判断で前に出て、スクラムハーフ谷口選手が周りをよく見てパスを放ち、フェーズが続きます。
ディフェンスではチャレンジャーらしい早い出足と、強く巧い相手に対して人数をかけて襲い掛かるタックルでミスを誘います。
前半20分までで、スコアボード以上に流れはクボタ。
特にエリアではほぼ敵陣で戦う展開。
互いに闘争心高く、負けたら終わりの必死の展開は、レフリーからの注意を受けるほど激しい攻防に。
そうした緊張感がヒリヒリと伝わる中、前半23分クボタはディフェンスで反則を誘い、フォーリー選手が40mのペナルティゴールを決めて17-0とします。
ここまでトップリーグ24戦負けなしの前回王者に対して、堂々とプレーするクボタスピアーズ。
しかし、流れは前半残り10分というところで変わります。
自陣ゴール前スクラムからの相手攻撃。
この日、初めてのピンチと言える局面で、相手№8が突進。
この突進に対しての、フォーリー選手のタックルが相手頭部に当たったことが、危険なタックルと判定されレッドカードの退場。故意ではなかったにせよ、ラグビーは激しいスポーツだからこそ、こうした危険なプレーは厳しく罰せられます。
残り試合時間を14人で戦うこと、そしてこの日7得点しているフォーリー選手を失うことはチームにとって大きな痛手です。
しかし、クボタスピアーズは闘志を失いません。
なぜなら、こうした逆境や壁はこれまでも経験しています。
今季リーグ戦第7節のトヨタ自動車ヴェルブリッツ戦では、この状況よりさらに一人少ない13人対15人という状況で、耐えました。
(参考:http://www.kubota-spears.com/calendar/official1/2021/0411/1300_00.html)
なんとしてもこのチャンスでスコアしたい神戸製鋼の猛攻に対して、クボタはこれまで以上の集中を見せるディフェンス。
レフリーに「痺れるね」とまで言わせるディフェンスで、簡単には得点を与えません。
39分には、トライ&ゴールの初失点を奪われてしまいますが、ここで粘ったことで、17-7と10点リードし、前半を終えます。
後半:14人でもアタッキングマインドで攻め続けるクボタ
ハーフタイム、ロッカールームは選手たちが自発的になにをすべきか話し合う声が聞こえます。
フランヘッドコーチは
「このために練習してきた。なにも問題はない」
立川キャプテンは
「アタッキングマインドを忘れない。後半は0対0の気持ちで戦う。これを乗り越えなければ俺たちは強くなれない。ボルツ(試合に出ていない選手)が見ている。勝って帰ってこよう。」
とチームを鼓舞し、ピッチにでます。
後半40分も14人で戦うクボタ。
10点リードのこの状況を守るのではなく、攻める。
その姿勢を後半開始直後から選手たちは見せつけます。
ボールを保持するクボタは蹴らず、攻めます。自陣から果敢に攻め、勢いを作り、相手の反則を誘い、さらに前へ。一人少ない状況でも、前半序盤に見せたようなアタックで敵陣へ。
そうして得た後半7分、ファンデンヒーファー選手が蹴るペナルティゴールは飛距離十分ですが、不成功。
その後は、後半20分すぎまで互いに追加点はありませんが、ボールが良く動き、攻守が入れ替わる展開。クボタは試合流れを相手に奪われまいと、ボールを保持し攻め続けます。
本来厳しいはずのこの状況に、気圧されることはなく自分たちのラグビーをプレーし続けることでプレッシャーをかけて相手反則を誘います。特に後半有利にたったスクラムでは、北川選手が相手から2本のペナルティを奪います。
そして、後半21分、ファンデンヒーファー選手が40mの長いペナルティゴールを決めて20-7と後半はじめての得点はクボタ。
しかし、神戸製鋼は王者の強さを見せます。パスを細かく繋ぐアタックでトライ&ゴールを許し、20-14。残り16分というところで、1トライ1ゴールで逆転の点差に詰められます。
この状況でも攻め続けるクボタですが、後半30分にインゴールにキックを転がされ、競ったもののトライ認められ、ゴール成功で残り時間9分を切ったところで、逆転されてしまいます。(20-21)
1点差を追うクボタですが、選手は焦りません。
そして、その逆転のチャンスを作ったのは今シーズン対戦相手に脅威を与えていたラインアウトモール。
このモールをしっかりと作り押し込むと、相手がコラプシング*5の反則。
風もある状況の中、決して簡単ではないゴールキックをファンデンヒーファー選手が決め、23-21の逆転。
試合時間残り4分。
これまでの76分続けてきたのと、同じように自陣からクボタは攻め続けます。
刻一刻と進む時計。
自然発生する会場の手拍子。
丁寧にひとつひとつ重ねられるフェーズが19フェーズに及んだ時、相手がペナルティ。時間は78分50秒。タップキックから再スタートしたクボタは、残り時間も同じようにフェーズを重ね、立川キャプテンがオレンジに染まったバックスタンドにボールを蹴りだし、ノーサイドとなりました。
★現在の順位
トップ4入りし、「日本選手権」兼「トップリーグ2021 プレーオフトーナメント準決勝」に進出しています。
この試合のハイライト映像はこちらです↓
https://www.youtube.com/watch?v=NskEHN8-WSo
【フラン・ルディケヘッドコーチのコメント】
「選手たちのパフォーマンスをハッピーに思います。特別な瞬間を得ることができました。これが本当にノックアウトトーナメントのすべてだと思います。そうしたなかリーダーたちがチームを一つにしてくれたことが勝利につながりました。また、来週のサントリー戦に備えたいと思います。
途中、14人となりましたが、試合中は選手たちが同じ絵を見てプレーしていました。立川キャプテンはじめ、リーダー陣のおかげです。」
【立川キャプテンコメント】
「たくさんのファンの方々に会場に着て応援して頂き、このような試合ができてうれしく思います。ただ、これで終わりではないので次の試合も勝てるよういい準備をしたいと思います。14人の局面は、やることは変わらず、プラン通りボールを保持するラグビーをしました。そうした中フォワードの頑張りが効いたと思います。」
【谷口選手コメント】
「急遽メンバーに入り、最初緊張していましたが選手たちやスタッフが声をかけてサポートしてくれたので、その緊張もほぐれプレーできました。14人の局面は、全員で話し合い判断し、プレーしました。特にハルさん(立川キャプテン)がずっと声をかけ、全員がハードワークすることができました。当初先発予定だった大さん(井上大介選手)からは、今日の会場に向かう直前に長くて熱いメッセージを送ってもらいました。みんなのサポートのおかげです。」
【ファンデンヒーファー選手コメント】
「今日のパフォーマンスについては、チームの全員がお互いのためにハードワークして、神戸製鋼に何もさせなかったからこそ得た結果だと思います。
思い出のある静岡でプレーできたことを嬉しく思います。静岡の方々の応援を感じることができました。昨夜は静岡の郷土料理もホテルで食べてエネルギーを得ることができました。
最後の逆転を決めたゴールキックは、風の影響は感じなかったです。逆転後はフォワードが頑張ってボールをキープしてくれました。
ピンクのソックスはとても良かったです。色も明るいし、走っていて速く見えますしね。やはり母親のためにというのはモチベーションになりました。偶然にも今日は私の義理の母の誕生日でもありましたしね。」
【ピックアップ写真】
↑この日限定のマザーズデイソックスは、選手だけでなくウォータボーイも着用
↑フォーリー選手は退場となったものの前半の30分間素晴らしいパフォーマンスを見せた
↑相変わらずのハードワークを見せたデーヴィッド選手とボタ選手の両ロック
↑北川選手とマークス選手は、セットプレーはもちろんボールキャリアとしても良く働いた
↑トゥパ選手はパワフルなランと技ありのディフェンスで勝利に貢献
↑攻守で体を張り続けたホネティ選手と立川選手
↑クロッティ選手は後半の早い時間で投入され何人分もの働きをした
↑後半の苦しい時間帯に出場し、チームを助けた羅選手
↑途中出場の末永選手はアグレッシブなディフェンスを見せた
【ラグビー用語解説】
*
1.ターンオーバー
攻守が逆になること。相手ボールを奪うこと
2.フェーズ
スクラムやラインアウトからカウントされ、ラックやモールが形成さえる度に1フェーズ、2フェーズと繰り返される
3.ミスマッチ
1対1の局面などで体格差や速さなどの違いがお互いにあること
4.アンストラクチャーアタック
アタック・ディフェンスの陣形が整っていない状態での攻撃。キック後のアタックやターンオーバー時がそれに当たる。スクラム・ラインアウトなど準備が整っている状態でのアタックはストラクチャーアタック。
5.コラプシング
スクラムやモールなどをディフェンス側が故意に崩す反則
【次戦についてのお知らせ】
日本選手権兼トップリーグ2021プレーオフトーナメント準々決勝
相手:サントリーサンゴリアス
日時:5月16日(日)13時10分キックオフ
場所:東大阪市花園ラグビー場
チケット情報
無観客試合
TV放映
NHK総合にて生放送
https://www3.nhk.or.jp/sports/rugby/
J-sports1にて当日午後5時30分から放送
https://www.jsports.co.jp/program_guide/03/12/90332_1245846/
J-sportsオンデマンドにて当日5時30分から放送
https://jod.jsports.co.jp/p/rugby/topleague/90332-L
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